
翌日
京都御苑から三十三間堂へ
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8月・雨上がりの暑い日
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三十三間堂へ入ると
オリジナルのお香と
優しい風が歓迎してくれた。
異次元の世界に
眩暈を憶えて
頭が真っ白になる。
圧巻の観音様や仏像達を前に
たったひとつの願いを問われた。
当時の私の最大の願いは
病気で旅立ってしまった弟の成仏だった。
大きな観音様の前で蝋燭に明かりを灯し
弟のことを一心に願った。
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いつまでも佇んでいたい気持ちを後に
外に出て空を見上げて
驚いた。
「えっ!? えっ!? え~~~っ!?」
「えっ!? 何!?」
鼻の穴や口髭の部分もハッキリ確認できた。
この時まで
意識したことなどなかったのだが
この時が
私と龍との出会いだった。